関節の変形について


今回は関節の変形についてお話しします。
一般に”変形性関節症”と呼ばれる症状です。

変形性関節症とは?


この症状はよく年配の人に見かけますが、軟骨がすり減ってしまって関節の形が変わってしまう症状のことです。

特に体重がかかる膝や股関節に変形が起きやすいのが特徴です。

O脚で歩いている年配の方をイメージするとわかりやすいかもしれません。

その場合はおそらく膝の変形性関節症を発症されているのではないかと考えられます。

場合によっては手術の適応になりますが、その前にできることがたくさんあります。

関節の構造


関節は骨と骨の継ぎ目です。

体を動かすときにはこの部分が動くわけですが、スムーズに体を動かすためにたくさんの組織が入り組んで形作られています。

軟骨も関節を構成する組織の一部になります。

軟骨は向き合った骨同士の表面にそれぞれ存在して、衝撃を吸収するクッションとして働いたり、ツルツルの表面を利用して骨同士を滑らかに動かす役割を担っています。

※関節の仕組みについてはこちらをご覧ください

軟骨の性質


このように体を動かす時に重要な働きをするのが軟骨です。

関節があるところには必ず軟骨があります。

しかし残念ながら軟骨は今の医学では一度損傷すると再生は不可能だと考えられています。

もちろんこれから再生医療が発展してくると事情が変わってくる可能性もありますが、今の段階では修復しないと考えられます。

変形性関節症ではこの再生しない軟骨がすり減ってしまっているわけです。

なので手術によって関節ごと人工のものに取り替えるのが主な治療法となります。

変形性関節症の治療


しかしながら実際には手術を選択する前にまだできることがあります。

例えば年齢を重ねてから膝の痛みが出て、病院でレントゲンを撮ると「膝の軟骨がすり減っていますね」とおそらくほぼ全員が言われると思いますが、過剰に心配する必要もありません。

それは軟骨がすり減るのは白髪が出てくるのと同じく、歳を重ねれば誰にでも起きる自然現象だからです。

軟骨の減っている程度も人によって様々ですし、軟骨が減っているから関節が痛むと考えるのも短絡的な話です。

もちろん軟骨の損傷が激しく、日常生活に著しく支障をきたす場合は手術が避けられないケースもありますが、多くの場合そこまでの病態に至っていないのではないかと思います。

臨床経験上、関節の変形に起因すると考えられる痛みのほとんどは筋肉や靭帯、関節の動きを調整することでコントロールすることができると思います。

なので実際には変形してる軟骨自体から痛みが出ている訳ではないケースがたくさんある訳です。

こうした場合、具体的には曲げ伸ばしや回旋など本来の関節の動きを取り戻せるように誘導しながら手技を施したり、関節の中の水を循環させることで動きやすくしたり、軟骨がすり減った箇所に体重が乗らないように体のバランスを調整したりといったアプローチを行います。

これらの手技で多くの場合は痛みを和らげることができます。

加えてリハビリをして関節周りの筋肉を鍛えたり、患部に過剰な負担がかからないようにすることで、問題なく日常生活を送れるようになることがほとんどです。

股関節や膝の痛みは動く気力を削いでしまうため、著しく日常生活が不便になりますし、体力も低下してしまいます。

関節の痛みで悩まれている方や手術を躊躇われている方は是非、適切な手技療法やリハビリを受けてみてください。

椎間板の構造

最近椎間板ヘルニアに関する質問をお受けする事が多いので、関連した内容を書いておこうと思います。

椎間板ヘルニアの簡単な説明は
こちらをご覧ください。

今回は椎間板についての話です。

椎間板の構造

椎間板とは背骨と背骨の間にあるクッション状の組織のことです。水分に富み、衝撃を吸収したり、背骨をスムーズに動かす役割りがあります。

構造を少し詳しく見ていきましょう。

椎間板は二種類の組織で構成されています。

中央にあるゼリー状の物質のかたまりを”髄核(ズイカク)“、その周りを取り囲む組織を”線維輪(センイリン)”と呼びます。

尚、髄核を支点とする事で、背骨は傾いたり捻ったり色々な方向に動く事ができます。


背が低くなる理由

ちなみに年齢を重ねると身長が低くなりますが、その理由の一つとして椎間板の水分が少なくなる事が挙げられます。

水分が少なくなると椎間板の高さは低くなります。

椎間板は背骨全体で23個ありますので、仮に一箇所で一ミリずつ高さが低くなるとしたら2.3cm背が縮む事になりますね。ただし加齢と共に水分量が減るのは自然の摂理ですので、さほど気にする必要はありません。

椎間板の中の水分量は1日の中でも変化していて、横になると増えますが、立ったり座ったりで重力を受けると少なくなります。

なので起床してすぐの時間帯が1日で一番身長が高く、逆に寝る前が一番低くなっています。

人によっては朝と夜で2cmほど背の高さが変わるようですよ。

椎間板の損傷を予防するには

立ったり座ったりと日常生活を普通に送るだけでも大きなストレスがかかっています。

咳やクシャミをすると通常の1.5倍、中腰で物を持ち上げると通常の2倍の負担が椎間板にかかると考えられています。

椎間板は、こうした大きな力を日常的に受けながらも、しっかりと体を支える働きを担っています。


損傷を予防するには日頃から椎間板に負担をかけにように意識して過ごすことが大切です。

中腰で物を抱えたり、前かがみで座り続けたりすることは知らず知らずのうちに腰の椎間板に大きな負担をかけるので控えるようにしてください。

またスマホやパソコンの画面を長時間見ることも首の椎間板に大きなストレスをかけています。

日常の何気ない動作の繰り返しがヘルニアなど椎間板の障害を招いてしまいますので、できるだけ良い姿勢で過ごすように心がけるようにしてください。

姿勢と背骨の関係

良い姿勢とは?

“姿勢を正す”というと、背骨をまっすぐにするイメージですが実は正反対です。

適度に背骨が曲がっているのが”良い姿勢“なのです。

背骨の構造

背骨は合計24個あり、これが綺麗に並ぶ事で体を支えています。

首には7個、背中には12個、腰には5個の背骨があります。

この3ヶ所それぞれで、背骨が適度なカーブを作って並んでいるのが正常な状態です。

具体的には首と腰では前側を頂点としたカーブを、背中では後ろ側を頂点としたカーブを描きます。

このカーブがきれいに描けていると、上下の背骨同士がきっちりと噛み合わさって関節が安定します。

これが一番体に負担の少ない姿勢です。


緩やかにカーブする事で、上下の背骨がしっかりと連結し、関節が安定するように設計されているからです。

背骨は適度に曲がっている方が強い

曲がった背骨は一見すると不自然に感じるかもしれませんが、実は背骨にカーブがある方が真っ直ぐに並んでいるよりも姿勢を保つ力は強くなります。

具体的に言うと、首、背中、腰の3ヶ所でカーブした背骨は、力学上では真っ直ぐに並んだ状態の約10倍の強度があるそうです。

背骨がまっすぐになると

一方で背骨が真っ直ぐになってしまうと、上下の背骨の間での連結が弱くなり安定性が失われてしまいます。

そうなると体を支えるために、背骨の代わりに筋肉が働くようになります。

姿勢を支え続ける事で、これらの筋肉はやがて疲労して硬くなってしまい肩こりや腰痛の原因にもなります。

腰を丸めたり、頭を前に突き出した姿勢は、背骨の自然なカーブが無くなった時に見られる典型的な”悪い姿勢“です。

この状態だと腰や首の筋肉に大きな負担がかかり、“椎間板ヘルニア”や“変形性脊椎症”といった厄介な症状を引き起こす原因にもなりますので、心当たりの方は気をつけてください。

時折腰を反らしたり、顎を引いたりを習慣づけるだけでもある程度の効果があると思います。