それ本当に片頭痛?

片頭痛とは

 「片頭痛です」と仰る患者さんがたくさんいらっしゃいます。しかしながら実際に診てみると片頭痛ではない、というパターンがよくあります。

 頭が痛いと「片頭痛かな?」と思う方が多いですが、必ずしもそうではありません。

 片頭痛という言葉は有名なんですが、何をもって片頭痛と言うのか正確に理解されていない印象があります。

 特に頭の片側が痛い場合に片頭痛だと思われがちなんですが、そういう訳ではありません。

 まず片頭痛とはどういう症状なのか?というところから確認していきましょう。

 片頭痛の典型的な症状は、ズキンズキンと脈打つ痛みが数時間から数日間続くということです。

 それも毎日ではなく、週に数回、もしくは月に数回といった頻度で起こります。痛みがない時は全く何ともありません。

 で、痛みのでる箇所は様々で、片側が痛む場合もあるし、両側が痛む場合もあります。

 それと頭痛が出てる期間は基本的に動くと痛みが増強することも特徴です。

 歩いたり、何気ない日常動作をすることによっても痛みがひどくなることが多いようです。

 また、入浴したら痛みがきつくなります。

 その他にも人によっては吐き気、嘔吐、光や音に過敏になるなど症状の出方はそれぞれです。

 これらが片頭痛の症状です。これらの発症するメカニズムは分かっていない要素も多いようですが、はっきりしているのは頭の血流が良くなると症状がきつくなるということです。

 なので運動したり、お風呂に入ったりといった血流が良くなるようなことをすると頭痛がきつくなるのが片頭痛の大きな特徴です。

緊張性頭痛とは

 一方で良くある頭痛のもう一つ、緊張性頭痛と言われるタイプの頭痛はまた違った症状の出方をします。

 もちろん頭が痛いということは同じなのですが、その原因が全く違います。

 緊張性頭痛の場合は毎日のように頭の重さや圧迫感が続きます。同時に片や首が凝るのが大きな特徴です。

 凝りがきつくなると頭痛もきつくなります。片頭痛とは逆に運動したり入浴したりで血流が良くなると頭痛も改善します。これが緊張性頭痛の特徴です。

 血流が良くなると悪化するのが片頭痛で、血流が良くなると改善するのが緊張性頭痛です。

この二つは真逆とも言えるものですので、処置する際もこの点を考慮しないといけません。

 実際にはこれら二つの混合型もあって明確に区別するのはややこしい場合もあるのですが、まずはこの基本的な発症メカニズムを理解してください。 

緊張性頭痛への処置方法

 緊張性頭痛に関しては、血流を良くすることで症状が改善するので、そのためのアプローチを行います。

 血流が悪くなっているのは、筋肉が固まってしまっているからです。

 体を動かしたり、温めたりして凝り固まった筋肉をほぐすのが有効です。

 施術する際も筋肉を柔らかくするアプローチをします。

 マッサージなどはそうした効果が期待できるので、緊張性頭痛の場合は積極的に取り組めば良いと思います。

片頭痛への処置方法

 一方の片頭痛ですが、こちらは血流が良くなると症状が悪化するのでこの点に気をつけて処置をします。

 手軽にできて効果が高いのは痛みのある箇所を冷やすことです。冷やすと血管が収縮して血流が抑えられるので、痛みを抑制する効果があります。

 施術する際には色々注意が必要です。基本的にマッサージなどは筋肉を柔らかくして血流を良くしてしまうので、片頭痛の場合は気をつけないといけません。

 施術の際に気をつけるポイントは二つあります。

 まずは頭に集中して血を流さないようにすることです。

 首や肩を緩めると頭にいく血流が良くなります。

 そうなると片頭痛の場合は頭痛が悪化してしまうので、体の他の部位にしっかりと血を流すようにする必要があります。

 具体的には手先や足先なども含めて、血が通いにくいところをしっかりと緩めて頭にだけ血流が集中しないようにすることです。

 頭に集中して血が流れるていることが片頭痛を引き起こす一つの要因として考えられるので、そうならないように全身の血流を促すことを意識してアプローチすることが大事です。

 頭や首回りでなく、手足へのアプローチで施術を終わらせるように施術の流れにも気を配れば良いと思います。

 もう一つは筋肉を柔らかくするアプローチではなく、痛みを抑制できる箇所に刺激を入れるためにピンポイントの持続圧を加えることです。

 これはいわゆるツボ刺激のようなものです。

 詳しいメカニズムの説明は省きますが、片頭痛の痛みを感知する脳の一部と首の上の一部分が密接につながっていて、片頭痛が出るとこの部分に緊張が現れ硬くなります。

 逆にこの部位の緊張を緩めると、片頭痛を緩和する効果があります。

 自分でもできるので試してみてください。

 具体的には後頭部から指二本分くらい下に位置する首の骨の両脇にある筋肉の一部分です。

 実際に場所を探してみましょう。

 後頭部と首のつなぎ目に指を二本寝かせて両方の指先の間は1cmくらい離した状態で当ててみてください。上の指が後頭部の骨に少し触れるくらいです。

 この時、下の指が触れてるあたりが硬くなっています。ここに指圧のように持続的な圧を加えて緩めると、脳に刺激が入り片頭痛の痛みを和らげることができます。

 これら二つのポイントを意識しながらアプローチしてみてください。

 ただし頭痛の中には最初は激しく痛まなくても命に関わるものもあります。

 改善しない、もしくは徐々に悪化してくる場合は一度医療機関を受診するようにしてください。