股関節屈曲と内旋について

股関節は屈曲していくと自然と内旋動作を伴います。

これはもともと大腿骨上部に前捻角という捻れが存在するためで、大腿骨頭は大転子に対して約14度の角度で前方に位置しているのが通常の状態だからです。

なので大腿骨頸部を軸に脚を屈曲させると、自然と膝が外を向いて足が上がっていくことになります。

しかしながら実際には膝を外に向けることなく曲げれる人がほとんどだと思います。

これは屈曲に伴って股関節の後側で少し大腿骨頭が抜ける動きを自然に行なっているからです。

このように本来は屈曲に伴って自然に抜けるべき大腿骨頭が抜けないケースがあります。

まずは外旋六筋が固くて大腿骨頭が臼蓋から抜けられなくなっているパターンです。

外旋六筋は股関節を安定させるインナーマッスルとしての役割もありますが、これが固くなりすぎると求心力が高くなり過ぎて大腿骨頭を臼蓋に押し付ける力が強くなってしまいます。

もう一つは臼蓋形成不全です。これは生まれつきの股関節疾患で、股関節の受け皿である方の臼蓋の形が整っていないため、股関節の可動域に支障をきたします。

多くの場合骨頭を抜く動作がうまくできなくなるので、これも屈曲時に外旋を伴う要因の一つになります。

また、大転子周囲の軟部組織が硬くなることで、大転子の可動域が低下し、股関節内での滑り運動ができなくなるパターンもあります。

この場合は皮下脂肪を含め大転子周囲の軟部組織をリリースして動きを出していきます。