足首の関節の動き方

今回は足首にある距腿(きょたい)関節と呼ばれる距骨と脛骨、腓骨をつなぐ関節の動きを見ていきましょう。

足首の動き

スネの筋肉が縮むと足の甲や指が持ち上げられてつま先が上を向きます。

逆にふくらはぎの筋肉が働くとつま先が下を向きます。

このように下腿部の筋肉が働くことで足首の関節を動かす事ができる仕組みになっています。

この時、腓骨と距骨はそれぞれ特徴のある動きをします。

腓骨と距骨の動き方

まずつま先を下に向ける時です。この動きは底屈と呼ばれますが、この時腓骨は下に下がりながら前側が閉じるように少し回転します。

そして距骨は先が下を向くようにうなずく方向に回転しながら、距骨全体も前の方に滑っていきます。

逆につま先を上に向ける動きである背屈をする時には、腓骨は上に上がりながら後ろ側が閉じるように少し回転し、距骨はつま先を持ち上げるように後ろに回転しながら距骨全体も後ろに滑っていきます。

距骨が下を向いたり上を向いたり回転する運動のことを”転がり運動”と呼びます。

そして前や後ろにスライドすることを”滑り運動”と言います。

これらの運動の組み合わせで足首はスムーズに動ける仕組みになっています。

股関節屈曲と内旋について

股関節は屈曲していくと自然と内旋動作を伴います。

これはもともと大腿骨上部に前捻角という捻れが存在するためで、大腿骨頭は大転子に対して約14度の角度で前方に位置しているのが通常の状態だからです。

なので大腿骨頸部を軸に脚を屈曲させると、自然と膝が外を向いて足が上がっていくことになります。

しかしながら実際には膝を外に向けることなく曲げれる人がほとんどだと思います。

これは屈曲に伴って股関節の後側で少し大腿骨頭が抜ける動きを自然に行なっているからです。

このように本来は屈曲に伴って自然に抜けるべき大腿骨頭が抜けないケースがあります。

まずは外旋六筋が固くて大腿骨頭が臼蓋から抜けられなくなっているパターンです。

外旋六筋は股関節を安定させるインナーマッスルとしての役割もありますが、これが固くなりすぎると求心力が高くなり過ぎて大腿骨頭を臼蓋に押し付ける力が強くなってしまいます。

もう一つは臼蓋形成不全です。これは生まれつきの股関節疾患で、股関節の受け皿である方の臼蓋の形が整っていないため、股関節の可動域に支障をきたします。

多くの場合骨頭を抜く動作がうまくできなくなるので、これも屈曲時に外旋を伴う要因の一つになります。

また、大転子周囲の軟部組織が硬くなることで、大転子の可動域が低下し、股関節内での滑り運動ができなくなるパターンもあります。

この場合は皮下脂肪を含め大転子周囲の軟部組織をリリースして動きを出していきます。

椎間板の構造

最近椎間板ヘルニアに関する質問をお受けする事が多いので、関連した内容を書いておこうと思います。

椎間板ヘルニアの簡単な説明は
こちらをご覧ください。

今回は椎間板についての話です。

椎間板の構造

椎間板とは背骨と背骨の間にあるクッション状の組織のことです。水分に富み、衝撃を吸収したり、背骨をスムーズに動かす役割りがあります。

構造を少し詳しく見ていきましょう。

椎間板は二種類の組織で構成されています。

中央にあるゼリー状の物質のかたまりを”髄核(ズイカク)“、その周りを取り囲む組織を”線維輪(センイリン)”と呼びます。

尚、髄核を支点とする事で、背骨は傾いたり捻ったり色々な方向に動く事ができます。


背が低くなる理由

ちなみに年齢を重ねると身長が低くなりますが、その理由の一つとして椎間板の水分が少なくなる事が挙げられます。

水分が少なくなると椎間板の高さは低くなります。

椎間板は背骨全体で23個ありますので、仮に一箇所で一ミリずつ高さが低くなるとしたら2.3cm背が縮む事になりますね。ただし加齢と共に水分量が減るのは自然の摂理ですので、さほど気にする必要はありません。

椎間板の中の水分量は1日の中でも変化していて、横になると増えますが、立ったり座ったりで重力を受けると少なくなります。

なので起床してすぐの時間帯が1日で一番身長が高く、逆に寝る前が一番低くなっています。

人によっては朝と夜で2cmほど背の高さが変わるようですよ。

椎間板の損傷を予防するには

立ったり座ったりと日常生活を普通に送るだけでも大きなストレスがかかっています。

咳やクシャミをすると通常の1.5倍、中腰で物を持ち上げると通常の2倍の負担が椎間板にかかると考えられています。

椎間板は、こうした大きな力を日常的に受けながらも、しっかりと体を支える働きを担っています。


損傷を予防するには日頃から椎間板に負担をかけにように意識して過ごすことが大切です。

中腰で物を抱えたり、前かがみで座り続けたりすることは知らず知らずのうちに腰の椎間板に大きな負担をかけるので控えるようにしてください。

またスマホやパソコンの画面を長時間見ることも首の椎間板に大きなストレスをかけています。

日常の何気ない動作の繰り返しがヘルニアなど椎間板の障害を招いてしまいますので、できるだけ良い姿勢で過ごすように心がけるようにしてください。

関節の仕組みを簡単に解説します

骨と骨のつなぎ目を”関節”と呼びます。

関節があるおかげでヒトは体を動かすことができる訳ですね。

スムーズに体を動かすために関節には色々な仕組みが備わっています。

関節の軟骨

関節で向き合う骨と骨は、お互いが”軟骨”という組織で覆われています。

軟骨は焼き鳥とか唐揚げでおなじみのあんな感じのコリコリでツルツルした組織です。

これがあるおかげで骨同士が直接ぶつかることなくクッションで保護された状態になります。

また軟骨の表面はとてもすべりやすいので関節を滑らかに動かすことができるようになっています。

関節の中の水

関節の中で向き合った骨同士は関節包という袋で周りを包まれていて、この袋の中は”滑液”(かつえき)という水で満たされています。

この滑液は潤滑油のような働きをしていて関節が滑らかに動くことを助けています。

滑液は関節包の内側にある滑膜(かつまく)というところから出てきます。

滑液には栄養素も含まれていて、軟骨はこれを吸収することで栄養をもらっています。

関節の水が古くなると

体を動かさないでいると滑液の循環が悪くなります。

動き出した時に関節が痛む場合は滑液の循環不良が原因として考えられます。

溜まった滑液が古くなりドロドロしてきてスムーズな関節の動きを妨げるようになるからです。

また、新しい滑液が出てこないと軟骨に栄養を届けられなくなってしまいますので、軟骨が栄養失調に陥ります。

こうした要因で関節痛等、様々な不具合を招きます。

関節の循環を良くするには

こうした不具合を防ぐためにはしっかりと体を動かすことが必要です。

重力を受けながら体を動かすことで関節に刺激が入り、古くなった滑液は吸収され、新しい滑液が分泌されます。

そうすると滑液がなめらかになって、滑りが良くなります。

また、軟骨も新鮮な滑液を介して栄養を受け取ることができます。

ですので適度に体を動かして滑液の循環を良くすることが関節を健康に保つポイントです。

歩くだけでも効果的ですので、是非ご自身の体に適した強度の運動を日常に取り入れてみてください。