外反母趾への対処方法

なんで外反母趾になるのか?

外反母趾に悩まされている方は少なくないと思います。

親指が傾いてしまった状態が外反母趾ですが、実はこうなるには様々な理由があります。

親指が傾いてしまう原因としてまず思いつくのが先の細い靴などを履くことで指先が締め付けられる、ということでしょう。

もちろんこれも大きな要因の一つですので、改善すべきポイントであることに違いありません。

しかしながら他にも原因となりやすい要素があります。

今回は見落とされがちな二つのポイントをご紹介していきます。

1.足のうらの外側にあるアーチが下がっている

まず最初に注目すべきは、足の骨の並びです。

足の甲や足の裏を構成する骨は、付け根のところで石ころ状の骨が集まることで足を形作っています。

この石ころ状の骨の位置がずれてしまうことが外反母趾を引き起こす要因になります。

どういうことか順を追ってみていきましょう。

①立方骨が下外側に落ちて外側縦アーチが崩れる

足の小指側にあるアーチの頂点が下がってしまいます。

足の内側には土踏まずがあり、こちらは内側のアーチとも呼ばれわかりやすい形状をしているのですが、実は足の外側にも僅かながらアーチがあります。

ご自身の足の裏をよく観察してみると、小指の延長線上にも浅いアーチがあるのがわかると思います。

このアーチの頂点に位置するのが立方骨です。これが図の①のように外側、下側に下がってきてしまうことがあります。

②足根骨が外にスライドする

立方骨がずれてしまったことによって、その隣にある石ころ状の骨もずれてしまいます。
ここには楔状骨(けつじょうこつ)という三つの骨があるのですが、これが順に外側に移動してしまいます。そうして足根骨が全体的に外にズレてしまいます。

③第一中足骨が内側に傾く

楔状骨がずれてしまうと、一番内側の楔状骨につながっている親指の根元の骨、第一中足骨は足場を失なってしまいます。そのため内側に傾いてしまいます。

④親指が曲がって赤丸の箇所にストレスがかかる

その結果、靴を履いたり歩いたりする際に指先の関節に内側から圧迫がかかるようになり、親指の付け根の関節が折れ曲がってしまいます。これが外反母趾です。

このような足部のアライメント不良はかなりの確率でみられます。

曲がったところを真っ直ぐにする前にまずは立方骨を調整して外側縦アーチをしっかりと作る事が大切ですね。

そのためにテーピングを利用するのが有効ですので、巻き方の一例をご紹介します。

ここではキネシオテープに代表される伸縮性のあるテーピングを使用します。

50ミリ幅のテープを半分の25 ミリ幅に切って2.5マスと2マスの2本を用意します。
もしくは25ミリ幅のものを別に準備して頂いても構いません。

この25ミリ幅のテープを使って2.5マスを内に倒れた親指を矯正するように縦に貼ります。
2マスで親指に貼った箇所が剥がれないように上からとめます。

次に50ミリ2マスを3回ほど折り畳んで小さなパットを作り小指側のアーチの頂点に当てます。

そのまま50ミリ4.5マスを使って土踏まずの一番高いところのラインを横にサポートします。

動画のリンクを貼っておきますので参考にしてください。

2.つま先が外側を向いている

次のポイントとしてつま先の向きがあります。

外反母趾になりやすい方の傾向として、つま先が外側を向いていることが挙げられます。

つま先が外に向くと、地面を蹴る時に親指の内側を使ってしまう傾向があります。

こうなると親指が内側に傾きやすくなり、外反母趾を発症する一因となります。

人差し指で地面を蹴ると一番負担が少ないのですが、つま先が外を向くことで親指の内側で地面を蹴ると親指の関節に大きな負担がかかり外反母趾になりやすくなってしまうわけです。

つま先が外を向いてしまうのはいくつか要因があるのですが、代表的なものとしてはお尻の奥の筋肉が硬いということが挙げられます。

お尻の奥にある筋肉はつま先や膝を外に向ける働きをしています。

そのため、お尻の奥にある筋肉が硬くなるとつま先が外に向きやすくなってしまいます。

実際にお尻の奥をクッと力を入れて締めるとつま先や膝が開くのがわかると思います。

この中の番号をつけてある箇所がつま先を外に向けるときに働く筋肉です。

ですのでこの場合はお尻の奥のストレッチをするのが効果的です。

また、歩くときにつま先の向きを意識して、外に向かないような歩き方を習得するのも良いでしょう。

軟骨の変形について

関節の中には軟骨という組織があります。

この軟骨は骨を保護したり、関節を滑らかに動かしたりする働きがあるのですが、ずっと使っている少しずつすり減ってきてしまいます。

そしてすり減ってしまった軟骨は再生できないので、そのまま関節の変形が進んでいきます。

変形性関節症は膝や股関節によくみられますが、どこの関節でも起こり得ます。

外反母趾もかなり進行した状態だと軟骨がすり減って関節が変形している場合もあります。


この場合は元に戻すのは難しいので、上手く付き合っていく必要があります。

場合によっては手術などの選択肢も検討しないといけないかもしれません。

いずれにせよ、親指に負担がかかる要因を解消していくことが大切になります。

放っておいてもよくなる訳ではないので、早めに処置を開始することをお勧めします。

古田大祐

五十肩へのアプローチ方法

五十肩は中年期によくある肩を動かせなくなる疾患です。

四十肩と呼ばれることもありますが、どちらも俗称で全く同じものです。

正式には”肩関節周囲炎”と呼びます。

40歳以降に多く見られる疾患なので、年齢にちなんで四十肩や五十肩という名前がついています。

五十肩になった経験のある方はたくさんいらっしゃると思います。
臨床をしているとかなりの頻度で遭遇する疾患です。

よく知られている疾患だけに患者さんの間でも話題に上ることも多く、処置方法も「動かしたらいい」とか、逆に「動かしたらダメだ」とか、皆さんから色々な意見を耳にします。

時期と症状によって必要な処置は変わりますので、どちらも正解とも間違いとも言えないのですが、適切な処置をしないと悪化させてしまいますので注意が必要です。

今回はこの五十肩について整理していきながら有効なアプローチ方法を考えていきましょう。

なぜ五十肩になるのか?


五十肩の典型的な症状としては手を上に挙げられなくなることです。

特になり始めは痛みもきつく、じっとしていても痛むし、夜寝るのが辛いほど痛むことも珍しくありません。しかし時間の経過とともに自然とこうした症状が消えていくのが五十肩の特徴です。

ただし、楽になるまでにかかる時間にはかなりの個人差があります。
早ければ3ヶ月程度、遅ければ2,3年というケースもあります。
この期間をどれだけ短くしていけるか?というところが治療の目標になります。

これだけ頻繁にある疾患にも関わらず、発症のメカニズムがよくわかっていないのが五十肩の特徴です。なぜ五十肩になるのか?はよくわからない訳です。

年齢的なものや負担がかかる状態での使い過ぎなどの要因は考えられますが、病巣や病態もそれぞれで決定的な要因を特定できないのが実際のところです。

そしてなぜか勝手に良くなってくるのも五十肩の特徴です。

ですので五十肩全般の特徴として

・なぜなるのかよくわからない
・自然に良くなってくる

の二点が挙げられます。

何が起きているのか?

五十肩の病態を少し詳しく見ていくと、

・肩関節の中に炎症を起こしてそこが痛む
・痛くて肩を動かせないことで、肩の周囲の筋肉や靭帯が固まって動かせなくなる

という二つの状態に大別できます。

これらのいずれか、もしくは両方を併発している訳です。

これらを念頭に大まかな治療方針を考えていきます。

簡単に言うと、炎症がきついうちは安静に、そして炎症が引いて組織が固まることによる不具合が出ている時期には動していく、ということになります。

症状の経過とやるべきこと

五十肩の経過としてはまず最初は肩関節の中に炎症が起きます。

これが炎症期と呼ばれる時期で、この期間は強い痛みに悩まされるケースが多く見られます。

じっとしていても痛い、熱っぽさがある、痛くて夜寝られない、などはこの時期の典型的な症状です。最もしんどい時期ですが、このフェーズは数週間から半年ほど続くと考えられます。

この時期は動かすと炎症がひどくなりますので、基本的には患部の安静と冷却して熱をとることを行います。

ただ全く動かさないと固まってきますので、患部に痛みが出ない範囲で動かしていった方が良いです。それができているかどうかで、次の段階に進んだ時に大きな差が出てしまいます。

少し細かく言うと、鋭い痛みが出ないように注意しながら、肘や肩甲骨、鎖骨など肩関節の周囲の関節を出来るだけ動かして固まるのを防ぎます。肩を動かさなくなると周囲の関節も動かさなくなり、固まってしまいますのでそれを防ぐ訳です。

同時に肩周囲の筋肉を動かすことで血流やリンパの流れを出来るだけ滞らないようにさせていきます。そして筋肉を動かせる範囲で動かすことで脳との連絡を保ち、神経機能の低下を防ぐようにします。

どういう動きが良くて、何がダメなのかの判断が難しいですし、正確に動かすことも大変ですので、ここは専門家にサポートしてもらう必要があります。

自分でできることはしたら安静など患部に出来るだけ負担をかけにあようにすることと氷による冷却です。

次は拘縮期と呼ばれる段階です。

ここは数週間から1年程度を要すると考えられます。

拘縮(こうしゅく)とは固まってしまった状態のことです。

人間の体は動かしていないとすぐに固まってしまうのですが、炎症期で動かせないことにより肩の周りが固まってしまう訳です。

ただ炎症期には安静が必要になりますので、拘縮してしまうのはある意味当然で仕方がない訳です。

ですので炎症期に安静にする箇所を必要最低限に留めておいて、出来るだけ固まる箇所を少なくして拘縮期を迎えられるように、炎症期の早い段階からの処置が必要とされる訳です。

このフェーズでは積極的なアプローチが必要になります。

動かせる範囲でどんどん動かしていって固まった箇所を緩めていきます。

その手段として手技療法を受けたり、運動療法を受けたりしていきます。

ご自身でも日常生活の中で動かしていく必要がありますが、無意識に動かしていると肩をすくめながら腕を上げるような変な癖がつきやすいので注意が必要です。

やはりここも専門家の支持のもとリハビリに取り組んでいった方が良いでしょう。

最後に寛解期と呼ばれる数週間から数ヶ月のフェーズを経て回復してきます。

五十肩は自然と良くなってきますので、特に処置をしなくてもこのような経過をたどって徐々に痛みは消えてきますが、しっかりと処置をしていないと固まった組織があちらこちらに残ってしまい、手が上がりきらないなど、元の機能を取り戻すことができなくなってしまいます。

また、適切な治療を施すことによって各フェーズを通過する時間を短くすることが期待できます。

次に具体的な処置方法をまとめてみます。

具体的な病態とアプローチ方法

五十肩の場合、各組織に様々な変性が見られます。
少し専門用語が入りますが、具体例の一部をあげてみます。

棘上筋腱:腱線維断裂

二頭筋長頭腱周囲:肥厚・拘縮肩峰下、烏口下、三角筋下、肩甲下滑液包:炎症・癒着

滑膜:炎症

腋窩陥凹:関節包が短縮することで消失

腱板疎部(烏口上腕靭帯、上関節上腕靭帯):肥厚・拘縮・異常な血管増殖による血流増加(Burning sign)

棘下、小円筋周囲:拘縮

などが見られます。

ですので

施術のポイントとしては   
    
1.肩峰下スペースの拡大
2.各組織の拘縮除去
3.可動域訓練 

の三つを意識して行うことが重要になります。

具体例としては

・骨頭の上方変位、前方変位に対して矯正をかけて第二肩関節、肩甲上腕関節のアライメントを調節する

・肘の回内回外制限や肩甲胸郭関節の可動域制限を除去し、上肢帯全体としての可動域を確保することで肩甲上腕関節への負担を減らす

などのアプローチを中心にフェーズごとに必要な処置を施していきます。

症状の特徴から、回復まである程度時間がかかるのは仕方がないにしても、少しでも早く治ればそれに越したことはありませんので、五十肩の症状がある場合にはどの段階であっても、しっかりと処置をして行くことが大切です。

仮性近視への施術

仮性近視とは?

仮性近視は、眼のレンズである水晶体という組織の厚さを調節する毛様体筋という筋肉がしっかりと働かなくなっていることが原因で発症します。

眼に備わっている水晶体と呼ばれるレンズは、毛様体筋が縮むことで分厚くなり近くがよく見えるようになります。

逆に毛様体筋が緩むと、レンズが薄くなり遠くにピントを合わせることができます。

このように毛様体筋が縮んだり緩んだりすることでピントを調節しているわけです。

しかし、この毛様体筋が硬くなったままだと、緩むことができなくなり、遠くを見てもレンズが分厚いままの状態でピントが合わなくなってしまうわけです。

これが仮性近視です。

仮性近視へのアプローチ方法

仮性近視に対する施術ではこの毛様体筋を緩めて、しっかりとピント調節機能が戻るようにアプローチをしていきます。

具体的には電気を通した鍼を使用したり手技による施術によって毛様体筋につながる神経に刺激を入れて、この筋肉を間接的に緩めていきます。

また、眼球周囲につながる血管にアプローチをして血流を改善して、目が動きやすい状態を作っていきます。

そうすると遠くを見る時にもピントを合わせることができるようになります。

これを定期的に何度か繰り返すと、徐々に本来の働きを取り戻して視力が回復します。

仮性近視を放置しておくと徐々に近視に移行していきます。

近視は眼球の長さに変化が生じて起こる症状なので、仮性近視とは全く異なった病態です。

近視に移行する前に、適切な処置をして視力を回復させておく事をおすすめします。

年を重ねると出てくる膝の痛みについて

膝の軟骨と痛みの関係

膝の痛みにはいろいろな種類のものがありますが、今回は年齢を重ねることによって出てくるタイプのものを取り上げます。

年をとると、関節の軟骨がすり減って変形することで痛みが出てくると考えられています。

確かに膝の痛みを訴える年配の方がレントゲンを撮ると、関節の隙間が狭くなっていることがよくあります。

ですので、すり減った軟骨を補うためにサプリメントを摂取したり、ヒアルロン酸を注射して関節の動きを助けたりいて痛みを和らげようとします。
それでも無理な場合には手術をする方もいらっしゃいます。

しかし実際には、膝の痛みと軟骨のすり減り度合いは必ずしも関係しているとは限りません。

臨床的には軟骨のすり減りが激しくても、さほど痛みを感じていない方もいらっしゃるし、逆にレントゲン上はそこまで問題がなくても痛みがひどい方もいらっしゃいます。

この違いは何でしょうか?
この点を考えていきましょう。

膝の構造

まずは膝の構造を確認していきましょう。

膝はとても複雑な構造をしているのですが、簡単にまとめるとこのイラストのようになります。

関節包
関節全体を包む袋のことで中は滑液という液体で満たされています。

滑液(かつえき)
ヒアルロン酸を多く含む液体。クッション、潤滑剤としての働きがあります。

靭帯(じんたい)
固いヒモ状の組織。骨と骨をしっかりつないで膝を安定させています。膝の場合は関節の内側にも外側にもあります。

半月板
膝の内部にある組織で水分を多く含み衝撃を吸収するクッションの役割をになっています。

軟骨
表面がツルツルで弾力性に富む組織。衝撃を吸収、骨の保護、関節を滑らかに動かす。関節の中で向かいあった骨同士は必ず軟骨を介して向かい合っています。

しっかりと体重を支える役割もある膝は、このように色々な組織で構成されています。

軟骨のすり減りと膝の痛みの関係

では軟骨がすり減るとなぜ膝が痛むと考えられるのでしょうか?

軟骨とは関節の中で向き合った骨同士がお互いにかぶっている帽子のようなものです。

この軟骨のすぐ下には骨があります。

骨の表面には神経が張り巡らされているので、ここはとても過敏な痛みを感じやすい構造になっています。

ですので、軟骨がすり減ると骨の表面が剥き出しになり、衝撃がダイレクトに骨に加わることになるので激しく痛むわけです。

しかし少し軟骨が減っているぐらいでは、骨の表面が露出することはありません。

こうなるのは、かなり軟骨がすり減ったことで膝の変形が進んだ場合です。
ですので、そこまで変形が進んでいない場合の膝の痛みは、後述しますが別に原因があると考えられます。

なぜ軟骨がすり減るのか?

そもそもなぜ膝の軟骨がすり減ってしまうのでしょうか?

それは膝が長年体重を支え続けた結果、摩擦に耐えられなくなるからです。

特に偏った使い方やバランスの悪い体重の載せ方をしていると、局所に負荷が集中してかかるようになるので、その部分の変形が進んでいくと考えられます。

ですので

膝が痛む→軟骨がすり減っている→軟骨を増やせばいい→サプリメントを摂る

という流れで対処されている方も多くいらっしゃいます。

しかしこれは本当に正しく、効果があるのでしょうか?

軟骨のサプリメントは有効?

膝の軟骨を補うと言われるサプリメントがあります。

グルコサミンやコンドロイチンという名前を耳にしたことのある方も多いと思います。

これらのサプリメントの成分は要するにコラーゲンです。
コラーゲンとは、タンパク質の一種で人の体内のタンパク質のうち約30%をしめる物質です。

靭帯や軟骨を構成する材料なので、これを摂取することで軟骨が作られると言われています。

しかし消化と吸収の過程を考えると、これらがどの程度軟骨の再生に効果があるのかは不明な点が多いと言えます。

コラーゲンはどうやって吸収されるのか?

コラーゲンに限らず体がタンパク質を吸収する過程は全て同じです。

タンパク質はアミノ酸という物質の集まりでできています。
全てのタンパク質はアミノ酸が集まって構成されているわけです。

タンパク質にいろいろな種類のものがあるのは、集まるアミノ酸の種類が違っていたり、並ぶ順番が違うからです。

タンパク質は大きいので、体内にそのまま吸収することはできません。
消化の段階でアミノ酸レベルにまで細かく分解されて、アミノ酸として体内に吸収されます。

なのでタンパク質はどのような形で摂取しても、結局は吸収段階で全てアミノ酸レベルに分解されることになります。

ということは、サプリメントでコラーゲンを摂取しても、吸収の段階ではアミノ酸になっていますので、サプリメントが軟骨になるとは考えにくいと言えます。
肉、魚、卵、牛乳でタンパク質を摂っても、コラーゲンサプリメントを摂取しても体の中では全く同じ反応しか起きません。

吸収される時にはどれもアミノ酸レベルにまで分解されています。

タンパク質は体のいろいろな髪の毛や筋肉、ホルモンなど体のあらゆるところを構成しているので、体内に入ったアミノ酸が体のどこに使われるかはわかりません。

軟骨のサプリメントを摂取したから軟骨になるわけではないのです。

加えて、そもそも現代の医学では軟骨は自然に再生されないと考えられています。

将来的にiPS細胞などの再生医療が発展すれば再生が可能になると思いますが、現時点では無理です。

病院でサプリメントが処方されないのはこうした理由からです。

残念ながら軟骨のサプリメントは膝の痛みを改善できる医学的な根拠に乏しいと言えます。

もし軟骨のサプリメントに劇的な効果があるなら臨床的にもっと利用されているはずですが、健康食品の域を出ないのはこうした理由があるからだと思います。

ではこうした膝の痛みに対して具体的にどのような医学的処置がなされているのでしょうか?

医学的な処置

医療機関での処置は

手術、注射、リハビリ(運動療法、手技療法)の三つに大別できます。

手術にはいくつかの方法がありますが、損傷した軟骨の付近の骨ごと人工関節に全て取り替える人工関節置換術という手術をされる方が多い印象です。

いずれにせよ他の処置では改善が期待できないケースの最後の選択という位置付けになると思います。

いきなり手術になるケースは稀です。

多くの膝の痛みの場合、まずは注射で経過をみることになると思います。

それは関節の中にある水の不具合が痛みに大きく関係していると考えられるからです。

注射には二種類あります。

①水を入れる→ヒアルロン酸注射
②水を抜く→関節穿刺(せんし)

膝の中にはもともと滑液という潤滑剤の働きをする水があります。

これが何らかの原因で増減した場合、不足したら注射によってこれを増やし、増えすぎた場合は抜いて痛みをコントロールすることがよく行われます。

水を入れる注射の成分に多く含まれるヒアルロン酸は化粧品の成分としても知られていますが、ドロッとしていて、水分の保有率が高く、関節の潤滑油として働いたり、衝撃を吸収するクッションのような働きもしています。

もともと膝の水である滑液の中にもヒアルロン酸は含まれていますので、水が少なくなった場合はこれを外から補う訳です。

では水を抜くケースはどうでしょうか?
これは逆に膝の関節の中の水が増えすぎた時に抜いて適量にするアプローチです。

しかし水を抜くと良くないと言われることがよくあるので、抜くことに抵抗のある方もいらっしゃると思います。

抜くとよくないと言われるのは、水が溜まっているのは何らかの原因があって結果的に溜まっている考えられるからです。
水(=滑液)は本来膝に必要なものです。

ですので、膝を守るために水が溜まっているとも考えられるので、原因に対する処置をせずに抜き続けても根本的な原因がどんどん悪化していくことも考えられわけです。

そのため安易に抜き続けるのは良くないと言えます。

しかしながら場合によっては水を抜いた方が良いケース、抜かなくてはいけないケースもあリますので一概に抜いてはダメなわけではありません。

抜くことによって楽になる場合も多いので、必要な際にはちゃんと抜いた方が良いです。

実際に水が溜まりすぎたら関節が膨らんで曲げることもできません。
このような状態では著しく日常生活に支障をきたします。

ただし水を抜いただけで終わりにするのではなくて、水が溜まらなくても良い膝の状態を作ることを考えていかないといけません。

対処療法だけを続けていても根本的な原因は解決しないので、徐々に悪化していくことになりかねません。
水を入れるケースも同じです。

この場合は滑液の主成分であるヒアルロン酸を注射する訳ですが、本来関節の中の滑液は体が作り出して分泌するものです。
滑液が不足している場合は滑液を分泌する機能に不具合が生じていることを意味しますので、これを解消していかなければいけない訳です。

このように水が増えすぎたり、減りすぎたりした場合、手技療法や運動療法を施すことで改善されるケースが多くありますので、そういった処方を受けたり、必要に応じて注射と併用したりしていくことが良いでしょう。

膝の水の量を調節する事ですり減った軟骨への負担を軽減させ、痛みを和らげる事ができる訳です。

しかしながら軟骨の摩耗と水の増減によるもの以外にも、膝の痛みを生じさせる理由があります。

手技療法や運動療法はそうした膝の不具合や痛みに対しても効果的です。

痛みが生じる場合、他にはどのような理由があって、手技療法や運動療法はどのような効果があるのかをみていきましょう。

膝が痛む原因

なぜ運動療法や手技療法が有効かというと、多くの膝の痛みは軟骨由来の問題というよりも、膝を動かさないことによって生じているからです。

膝が痛む主な要因は以下の三つです。

1.滑液の潤滑不全
上述してきたように、関節の水が溜まりすぎたり、少なくなりすぎたりした状態を意味します。

しっかりと関節の噛み合わせを整えて、周りの組織の働きが戻ると多くの場合、水の潤滑は自然と解消してきます。

2.軟部組織の硬さ
軟部組織とは筋肉や靭帯などのことです。痛みなどが原因で膝をしっかりと動かさなくなった時に、これらの組織が固まってしまいます。
それによって動かした時に痛みを生じるようになります。これはしっかりと動かしていくことで対処できます。

3.太ももの筋力低下
膝を動かさないことによって特に太ももの前の筋力が低下してしまい、膝を支える力が弱くなってしまったために痛みを生じてしまうことがあります。
この場合は、しっかりと動かして筋力を鍛える事で対処できます。

軟骨の状態ばかりに注意がいきがちですが、実際にはこれらの理由により膝に痛みを発症するケースが大半だと考えられます。

軟骨の摩耗があってもこうした周りの組織がしっかりと働いていればほとんど痛みを生じずに過ごせるケースも多い訳です。

ですので、まずはこれらを改善すべく体に負担の少ない手技療法や運動療法によるアプローチを中心に経過をみて、それで改善がなければ最終的には手術を考える必要があると言えます。

軟骨が激しく損傷している場合はもちろん外科的な処置が必要ですが、実際には軟骨由来でない痛みもたくさんあります。
膝のレントゲンをとれば誰もが歳を重ねると軟骨がすり減っているのが普通です。

軟骨がすり減るのは白髪やシワができるのと同じようなものです。

軟骨が減っているから痛むと考えるのは短絡的です。

実際には軟骨以外の組織がしっかり機能していないために痛みを生じているケースがほとんどですし、軟骨が傷んでいても周りの組織がしっかり働いて損傷部位に負担がかからなくなれば痛みはなくなります。

実際にレントゲンを撮って軟骨がかなり減っている人でもさほど不自由なく生活できる人も多くいらっしゃいます。

なので膝の痛みに対してまずは手技療法や運動療法を行なってみて、それでも改善が見られない場合は手術を考えていく流れが良いと思います。手術は最終手段で安易に行うべきものではありません。残念ながらサプリメントにはあまり期待できません。

注射も場合によっては必要ですが、根本的な解決にはならないので対処療法として長く続けない方が良いでしょう。運動療法や手技療法と併用するのが良いと思います。

こうした理由から適切な運動療法、手技療法こそが最初に取り組むべきアプローチであると言えます。ひどい軟骨の変形が生じる前であれば多くの場合効果が期待できます。

具体的に運動療法や手技療法ではどのような処置をするのかを紹介していきます。

運動療法・手技療法の具体例と効果

・関節モビリゼーション

関節を動かすことで関節に刺激を入れて滑液の分泌、吸収を促す手技療法です。新鮮な滑液で満たしておけば膝の中の負担が大きく軽減されて動きが軽くなります。

膝は屈曲する時に脛骨が内旋、伸展する時に外旋するので、この動きをしっかりと取り戻せるように手で誘導しながら動かしていきます。軽く圧をかけて滑液を軟骨や半月板に染み込ませるイメージを持ちながら動きを誘導していきます。

・マッサージ、ストレッチ

膝が曲がらない場合は太もも前の筋肉が縮んでいたり、膝の周囲の組織が固まっていることが多くみられます。痛みを庇うことによって長い間動かしていないとこうなってしまいます。動かしていないことで、実際に組織が硬くなって動けなくなってしまう訳です。

このように固まってしまった組織に対してストレッチやマッサージをして柔軟性を取り戻していくと、膝の動きが改善してきます。単独で筋肉や靭帯が硬くなるのに加えて、近くを走行する組織同士の癒着も動きを妨げる要因になります。

そうした癒着を剥がし、それぞれの組織の滑走性を取り戻す意識でアプローチをしていきます。

・筋力トレーニング

膝周囲の筋肉などを使えるようにして関節を安定させ膝への負担を減らします。具体的には太ももの前内側にある内側広筋という筋肉を中心に鍛えていきます。

筋力トレーニングといっても、重たいものを持ち上げる必要はありません。まずはほとんど負荷のない状態で筋肉が使えるように再教育していくことを優先していきます。筋肉に神経をスムーズに通すようなイメージです。そうすると徐々に力が入るようになってきて、膝への負担が減ってきます。

代表的なものとしてパテラセッティングというエクササイズがあります。

これは膝のリハビリでよく使われる運動です。両脚を伸ばして長座位になります。

そして片側の膝の真下に重ねた座布団を入れて少し膝が曲がるようにします。30度ほど曲がれば十分です。この時もう片方の脚は伸ばしたままにしておいて下さい。

この状態から膝裏で座布団を床に押し付けるように力を加えます。この時に足首とつま先を反らすようにすると力が入りやすくなります。

6秒間力を入れ続けて6秒間休みます。これを5〜10回ほど繰り返します。こうすると太ももの前の筋肉の強化につながります。


加えて片側の膝が痛む場合は、脚の長さに差がないかなど、全体的な体のバランスを調べて矯正していくことも必要でしょう。

一般に脚の長さが短くなっている側に体重が乗りやすくなる傾向があります。多くの場合、左右の脚の長さの差は腰回りのゆがみからきています。

もしくは足首のゆがみも膝に負担をかける原因になりますので、合わせて調整して置いた方が良いでしょう。

具体的に何をするべきかは人によって個人差があるのできっちりと専門家の指導のもと取り組んでみてください。

腱鞘炎の治し方

つらい腱鞘炎



腱鞘炎(けんしょうえん)は手首や指に多く見られる症状です。


手の自由が奪われるので、日常生活への影響も大きくとても困った疾患です。


腱鞘炎には大きく分けて二つの原因があります。


・ホルモンの影響によるもの


・手の使い方によるもの


の二つです。



腱鞘炎はよく手の使い過ぎが原因だと言われますが、たくさん使ってもならない人はなりません。


確かに使いすぎは発症のきっかけにはなりますが、手をよく使う人全員が発症するわけではない事実を考えると、使いすぎだけで腱鞘炎になるとは思えません。


今回はよくある手首の腱鞘炎を取り上げて


「セラピストが施術する際にどのように考えてアプローチしていくか?」


ということを考えていきましょう。



まずはじめに腱鞘炎とはどのような状態のことを言うのか?を確認しておきましょう。

腱鞘炎とは?

“腱鞘炎”とは、”腱鞘”と呼ばれる組織に炎症が起きた状態のことなのですが、”腱鞘”という言葉はあまり馴染みがないかもしれません。



特に”腱”と”腱鞘”が混同されがちなのでまずここを整理していきましょう。

腱とは


 ”腱”というのは筋肉が骨につく前の硬くなった箇所のことです。


 筋肉を細かくみると、縮んだり緩んだりして長さを変えることのできる”筋腹(きんぷく)”と、その両端にある硬い”腱”によってできています。


 腱は伸び縮み出来ない硬いひものようになっていて、筋腹の力を骨に伝える役割を担っています。


筋腹は力こぶをイメージするとわかりやすいと思います。


肘を曲げると筋肉が縮んで盛り上がりますが、このとき筋腹が短くなっている訳です。



しかし腱の長さは筋肉が縮んでも緩んでも全く変わりません。


縮んだり緩んだりする筋腹の力を硬いヒモとして骨に伝えているのが腱の役割です。


腱鞘とは?


 一方で”腱鞘”とは、腱の一部分を覆う組織のことです。


 腱の周りを腱鞘がぐるっと取り囲んでいる訳です。




 腱鞘は手首や指など、たくさんの腱が集まる部分に多くみられ、腱を包み込んでいます。


近くを走る腱どうしが擦れ合って傷むことを防いでいる訳ですね。




これら隣り合う腱鞘どうしが擦れあったり、腱鞘とその中を通る腱の間で摩擦が生じて腱鞘が腫れてしまうことがあります。これが腱鞘炎です。

摩擦がおきるので熱を持ったり、動かした際に強い痛みを生じたりします。




ではなぜ腱鞘炎になってしまうのでしょうか?

腱鞘炎には大きく分けて二つの原因がありますので、具体的な処置方法と合わせて確認していきましょう。

①ホルモンによるもの


女性の場合はホルモンの影響により腱鞘炎になることがあります。


腱鞘炎は女性に多い疾患ですが、それは女性に手を使う機会が多いからというだけではなく、女性ホルモンが腱鞘炎に関係しているからです。

・エストロゲンの影響


エストロゲンという女性ホルモンがあるのですが、年を重ねるにつれてこのホルモンの分泌量は低下してきます。


そしてエストロゲンが少なくなると関節周囲の組織が腫れやすくなることがわかっています。



この場合は外から力を加える施術で直接的な処置を出来るわけではないですね。


手技療法にできることとしたら自律神経系のアプローチであれば何かしら効果があるかもしれません。

・大豆イソフラボンとエクオール


ホルモンが原因と思われる場合の対処法としては栄養面からのアプローチが良いでしょう。


大豆に含まれるイソフラボンを原料として作られるエクオールという物質がエストロゲンに似た構造をしているので、少なくなったエストロゲンの代わりに働いてくれます。


なのでこのエクオールの原料となる大豆イソフラボンを摂取することが良いと考えられます。要するに大豆製品を食べれば良いということですね。


ただし大豆イソフラボンを摂取してもこのエクオールを作ることの出来ない体質の人もかなりの割合で存在します。

この場合はエクオールをサプリメントで摂取するのが良いでしょう。

②使い方によるもの

腱鞘炎にはこのようにホルモンの影響によるものもありますが、やはり手を使う頻度が高いと発症しやいのは間違いありません。


しかしどれだけ手を使っても大丈夫な人もいてますし、少し使っただけで発症する人もいます。


この違いはどこからきているのでしょうか?


それは手の使い方にあります。


腱鞘炎は手に負担のかかる状態で使い過ぎた時に発症します。

・手首に大きな負担のかかる状態


では手に負担のかかる状態とは具体的にはどのようなものでしょうか?

手首の腱鞘炎をおこす人に共通してみられる状態があります。


それは前腕部と親指が一直線になっているということです。


このような状態で手を使っていると手に大きな負担がかかり、腱鞘炎になる確率が高くなります。



こうなってしまう理由には手の機能が関係しています。


手には大きく分けて

“つかむ”と”つまむ”

の二つの機能があります。


この二つの機能を正しく使えていないと、腱鞘炎になりやすくなってしまいます。

・”つまむ”と”つかむ”の違い

“つまむ”という動作は指先で物をはさむ動きを意味します。

この時使う指は親指と人差し指です。


つまむ動作には大きな力は必要なく、細かく動かすことが要求されます。

そのため親指や人差し指には細かく動かすための機能が備わっています。


一方で”つかむ”と言う動作は手でしっかりとものを握る動きを意味します。


動かないように大きな力を出して強く握りしめる動きは、小指、薬指、中指が適した構造をしています。中でも小指が一番大事です。

・小指の力


小指は力の弱いイメージがあると思いますが、意外にも逆で小指が使えないと握る動きはほとんど出来なくなります。


試しに普通に握り拳を作って強く握り締めた時と、小指を一本伸ばした状態で握り締めた時との違いを体感してみてください。小指を立てて指を握ると握力は半分以下になってしまいます。


実際、野球のバットやゴルフのクラブ、そして剣道の竹刀など全て小指側からグリップをきかして握ることが要求されるのは、経験者の方ならご存知かもしれません。


それだけ小指側に位置する指はつかむ動作に適した構造をしているわけです。


親指と人差し指はつまむ指で、小指を含むそれ以外の三本はつかむ指です


まずこの違いを理解してください。 

しかしながら”つかむ”と”つまむ”の二つの動作を意識せずにしていることがほとんどだと思います。


その結果、本来は繊細な”つまむ”動きに適した構造をした人差し指や親指を”つかむ”ために使ってしまうようになります。


こうなると親指や人差し指を先に伸ばしてものをつかもうとするので、小指が外側に倒れてしまい、前腕と親指が一直線に並んだ手に負担のかかりやすい状態になってしまいます。


このように手が傾いた状態からさらに物をつかもうと、親指を先に伸ばす動きをしながら手を使うので、手首の親指側に大きな負担がかかり腱鞘炎を発症しやすくなると考えられます。

・セラピストが意識すること


ですので、腱鞘炎の処置方法としては、まずはクライアントさんに物をつかむときに小指側を使うことを意識してもらうことです。

これだけでずいぶん負担を軽減できますので、しっかりとクライアントさんに説明して理解してもらいます。


続いて手技による処置の方法です。

親指から物をつかむ癖がついていると、手首が小指側に倒れてしまっています。

この場合は小指から肘の内側のラインを通る筋肉が硬くなって手首を傾けているので、マッサージでこの部分を柔らかくして、その状態を矯正していきます。


具体的には尺側手根屈筋、尺側手根伸筋といった筋肉が対象になります。手首の小指側から前腕の内側のラインを念入りに緩めていきます。



そして手の指や手首を曲げたり伸ばしたりする筋肉群を緩めていきます。
前腕の手のひら側には曲げる筋肉が、手の甲側には伸ばす筋肉がついています。



曲げる筋肉は、肘の内側から手のひらまでの範囲にアプローチしていきます。
スタートと終わりをしっかりと意識するようにしてください。

ストレッチの場合は、手のひらを上に向けた状態で肘を伸ばしたまま、もう片側の手で手のひらを下に押し下げます。こうすることで筋肉を伸ばすことができます。




伸ばす筋肉は肘の外側から手の甲までの範囲にアプローチします。


ストレッチの場合は、手の甲を上に向けた状態で肘を伸ばしたまま、もう片側の手で手の甲を下に押し下げます。こうすることで筋肉を伸ばすことができます。


加えて手のひらの筋肉を緩めます。特に親指の付け根にある母指球と呼ばれる筋肉が盛り上がった箇所を緩めていきます。


内側に入り込んだ親指を広げていくイメージです。


前腕には指や手首を動かす筋肉がついているので、この部分を柔らかくすると、手首や指も動かしやすくなるわけです。

前腕部と中指が一直線に並んだ状態で手を使えるようになると、腱鞘への負担も少なく、腱鞘炎になりにくいので、このような状態を目指してください。


そして傷んだ箇所は炎症を起こしているので毎日可能な限り少なくとも20分は氷で冷やしてしっかりと炎症を取り除くことが必要です。逆に温めたり、お酒を飲んだりは控えた方が良いです。これらもクライアントさんに伝えるようにしてください。

このようにしてしばらく経過をみてください。

しっかりと処置ができていれば少しずつ痛みが軽減してきます。
どうしても無理に動かさないといけない場合は、テーピングやプライトンという固定具による処置も選択します。

これらの処置をしても改善が見られない場合は、投薬、手術などの処置が必要になる場合もありますので、専門の医療機関を受診されるように勧めてください。

喘息と体のゆがみの関係②

もう一つ、咳が出やすくなる原因も別にあります。

喘息でなくても風邪をひいたりして咳が続いて苦しい思いをされた経験はみなさん少なくともおありかと思います。

咳というのはそもそも喉に異物が入った時にそれを外に追い出すための防御反応です。

通常はこうした理由で咳が出るのですが、喉と脳の間の情報のやりとりに間違いが生じてしまい、咳が出ることがあります。

喉に何もないのに、何かあると勘違いして咳が出てしまうのです。

この場合は喉につながる神経で情報のやりとりがうまくいかなくなってしまうことで、実際には喉に何もないのに何かあると勘違いしてしまう状態になってしまっています。

以上をまとめますと、からだがゆがむ事で

1.気道にストレスがかかり息をしにくくなる。
2.肋骨の動きが悪くなり、呼吸をしにくくなる。
3.首のゆがみにより、神経の誤作動によって咳が出てしまう。

この三つの要素によって喘息の症状が見られることが実際によくあります。

喘息にお悩みの方はもちろん薬が必要不可欠な場合もありますが、体のゆがみをチェックして整えてみることも有効な処置の一つだと思います。

もちろん副作用もありませんので、是非一度試してみてください。

今回は体のゆがみと喘息の関係を簡単に紹介させて頂きました。

詳しい話に興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。

喘息と体のゆがみの関係 ①

今回は喘息と体のゆがみの関係に関して簡単にお話ししたいと思います。

喘息で悩まれている方は多いですが、病院での治療法は薬を服用するしかないのが現状です。

しかしながら実は体のゆがみを整える事でかなりの割合で症状が軽減します。

体を整えるとどのように影響するかという事を紹介していきます。

喘息とは簡単に言うと咳の発作が出たり、呼吸がしづらくなったりする症状のことです。

細かく分けると色々な種類がありますが、今はこの理解で結構です。
    
喘息の症状の一つとして、息苦しさがあります。

特に発作が起きているときは息を吐くのに苦労するという訴えをよく聞きます。

この場合一つの原因として気道にかかるストレスがあげられます。

体のゆがみによって気道に圧迫などの物理的なストレスがかかり、呼吸をし辛い状態が慢性的に続いている可能性があります。

体が捻れると空気の出し入れもスムーズにできなくなってしまいます。

また、体がゆがんだ状態だと、姿勢を維持するために必要な背骨周りの筋肉がずっと働き続けなければいけなくなり、疲労して固くなってしまいます。

姿勢を維持するための筋肉だけでなく、呼吸をするために必要な胸周りの筋肉も頑張って働くので、肋骨周りの筋肉も同様に固まってしまいます。

こうなるとしっかりと呼吸をするために必要な肋骨の動きが制限されてしまいます。

少し詳しく言いますと、肋骨まわりは息を吸った時に胸が膨らんで、吐いた時に縮むのですが、固まってしまった胸周りの筋肉が動きを邪魔してしまうことで、しっかりと肋骨が動けなくなってしまう訳です。

要するに体がゆがむことによって、気道にストレスがかかるのと、息をする時の肋骨の動きが悪くなってしまうこと。

この二つの要因で呼吸がしづらくなってしまいます。

それ本当に片頭痛?

片頭痛とは

 「片頭痛です」と仰る患者さんがたくさんいらっしゃいます。しかしながら実際に診てみると片頭痛ではない、というパターンがよくあります。

 頭が痛いと「片頭痛かな?」と思う方が多いですが、必ずしもそうではありません。

 片頭痛という言葉は有名なんですが、何をもって片頭痛と言うのか正確に理解されていない印象があります。

 特に頭の片側が痛い場合に片頭痛だと思われがちなんですが、そういう訳ではありません。

 まず片頭痛とはどういう症状なのか?というところから確認していきましょう。

 片頭痛の典型的な症状は、ズキンズキンと脈打つ痛みが数時間から数日間続くということです。

 それも毎日ではなく、週に数回、もしくは月に数回といった頻度で起こります。痛みがない時は全く何ともありません。

 で、痛みのでる箇所は様々で、片側が痛む場合もあるし、両側が痛む場合もあります。

 それと頭痛が出てる期間は基本的に動くと痛みが増強することも特徴です。

 歩いたり、何気ない日常動作をすることによっても痛みがひどくなることが多いようです。

 また、入浴したら痛みがきつくなります。

 その他にも人によっては吐き気、嘔吐、光や音に過敏になるなど症状の出方はそれぞれです。

 これらが片頭痛の症状です。これらの発症するメカニズムは分かっていない要素も多いようですが、はっきりしているのは頭の血流が良くなると症状がきつくなるということです。

 なので運動したり、お風呂に入ったりといった血流が良くなるようなことをすると頭痛がきつくなるのが片頭痛の大きな特徴です。

緊張性頭痛とは

 一方で良くある頭痛のもう一つ、緊張性頭痛と言われるタイプの頭痛はまた違った症状の出方をします。

 もちろん頭が痛いということは同じなのですが、その原因が全く違います。

 緊張性頭痛の場合は毎日のように頭の重さや圧迫感が続きます。同時に片や首が凝るのが大きな特徴です。

 凝りがきつくなると頭痛もきつくなります。片頭痛とは逆に運動したり入浴したりで血流が良くなると頭痛も改善します。これが緊張性頭痛の特徴です。

 血流が良くなると悪化するのが片頭痛で、血流が良くなると改善するのが緊張性頭痛です。

この二つは真逆とも言えるものですので、処置する際もこの点を考慮しないといけません。

 実際にはこれら二つの混合型もあって明確に区別するのはややこしい場合もあるのですが、まずはこの基本的な発症メカニズムを理解してください。 

緊張性頭痛への処置方法

 緊張性頭痛に関しては、血流を良くすることで症状が改善するので、そのためのアプローチを行います。

 血流が悪くなっているのは、筋肉が固まってしまっているからです。

 体を動かしたり、温めたりして凝り固まった筋肉をほぐすのが有効です。

 施術する際も筋肉を柔らかくするアプローチをします。

 マッサージなどはそうした効果が期待できるので、緊張性頭痛の場合は積極的に取り組めば良いと思います。

片頭痛への処置方法

 一方の片頭痛ですが、こちらは血流が良くなると症状が悪化するのでこの点に気をつけて処置をします。

 手軽にできて効果が高いのは痛みのある箇所を冷やすことです。冷やすと血管が収縮して血流が抑えられるので、痛みを抑制する効果があります。

 施術する際には色々注意が必要です。基本的にマッサージなどは筋肉を柔らかくして血流を良くしてしまうので、片頭痛の場合は気をつけないといけません。

 施術の際に気をつけるポイントは二つあります。

 まずは頭に集中して血を流さないようにすることです。

 首や肩を緩めると頭にいく血流が良くなります。

 そうなると片頭痛の場合は頭痛が悪化してしまうので、体の他の部位にしっかりと血を流すようにする必要があります。

 具体的には手先や足先なども含めて、血が通いにくいところをしっかりと緩めて頭にだけ血流が集中しないようにすることです。

 頭に集中して血が流れるていることが片頭痛を引き起こす一つの要因として考えられるので、そうならないように全身の血流を促すことを意識してアプローチすることが大事です。

 頭や首回りでなく、手足へのアプローチで施術を終わらせるように施術の流れにも気を配れば良いと思います。

 もう一つは筋肉を柔らかくするアプローチではなく、痛みを抑制できる箇所に刺激を入れるためにピンポイントの持続圧を加えることです。

 これはいわゆるツボ刺激のようなものです。

 詳しいメカニズムの説明は省きますが、片頭痛の痛みを感知する脳の一部と首の上の一部分が密接につながっていて、片頭痛が出るとこの部分に緊張が現れ硬くなります。

 逆にこの部位の緊張を緩めると、片頭痛を緩和する効果があります。

 自分でもできるので試してみてください。

 具体的には後頭部から指二本分くらい下に位置する首の骨の両脇にある筋肉の一部分です。

 実際に場所を探してみましょう。

 後頭部と首のつなぎ目に指を二本寝かせて両方の指先の間は1cmくらい離した状態で当ててみてください。上の指が後頭部の骨に少し触れるくらいです。

 この時、下の指が触れてるあたりが硬くなっています。ここに指圧のように持続的な圧を加えて緩めると、脳に刺激が入り片頭痛の痛みを和らげることができます。

 これら二つのポイントを意識しながらアプローチしてみてください。

 ただし頭痛の中には最初は激しく痛まなくても命に関わるものもあります。

 改善しない、もしくは徐々に悪化してくる場合は一度医療機関を受診するようにしてください。

指の関節が変形してきたらどうすれば良い?

指の第一関節が変形してくるへバーデン結節という疾患があります。

原因はまだよくわからないことも多いようですが、おそらく使いすぎや加齢、ホルモンの影響など色々な要素が重なって発症するのではないかと考えられています。

症状としては第一関節が腫れたり、コブのようなものが出来たり、形が変わってしまったり、痛んだりと色々です。

発症したからといって全ての症状が出るわけではありません。

このへバーデン結節は珍しい疾患ではなく非常によくみられ、女性に多いのも特徴です。

ちなみに第二関節に起きる変形もあり、こちらは”ブシャール結節”と呼ばれますが、へバーデン結節の方が一般的な知名度が高いようです。

この両者は基本的には同じようなメカニズムで発症すると考えて良いと思います。

ではこのような症状になってしまったらどうすれば良いのでしょうか?

処置方法を考えるために、まずはどのようなメカニズムで発症するのか?をみていきましょう。

関節の変形のメカニズム

骨と骨のつなぎ目を関節と呼びます。

この関節の中で向き合う骨同士は、軟骨という組織を介して向き合っています。


年齢を重ねると、この軟骨が減少してくることがあります。

それによって関節の噛み合わせが変わり、外見上も形が変わってしまうこともあります。

へバーデン結節ではこの様な状態になっていると考えられます。

指の使い過ぎによって関節の隙間が狭くなり、軟骨に負担がかかりすぎるため、加齢とともに軟骨がすり減り、関節の変形が進むと考えられます。

筋肉や関節周囲の組織が硬くなることによって、本来スペースがあるはずの骨と骨の距離が近くなってしまうことによって軟骨にストレスがかかり、少しずつ変形してくるのではないかと考えられます。

ホルモンの影響

関節を変形させる要因として他にホルモンの影響も考えられます。

へバーデン結節の発症に関与すると考えられるのはエストロゲンというホルモンです。

これは卵胞ホルモンとも呼ばれ、いわゆる女性ホルモンの一種です。

へバーデン結節は、このエストロゲンの分泌が減少する妊娠中、産後、更年期に発症しやすくなります。

それはエストロゲンには組織の腫れを抑える作用がある為、分泌量が減るタイミングで体の各組織に腫れが生じやすくなるからです。

処置方法

では具体的な処置方法を考えていきましょう。

手軽に出来る処置方法は三つあります。

まず一つ目は氷で冷やす事です。

冷やす事で腫れの原因にもなる熱を取り除くことができます。

また鎮痛効果も期待できます。

この際に出来れば湿布や保冷剤よりも氷を使用してください。

氷水に指をつけるのが最も効果的です。

少なくとも10分程度はしてみてください。

最初は冷たくて痛みますが、徐々に慣れてきます。

二つ目はマッサージやストレッチです。

指を動かす筋肉を柔らかくする事で関節の隙間を広げる事ができます。

ヘバーデン結節の場合、指の動きに関わる筋肉を緩める必要があります。

具体的には前腕部や手の平などへのアプローチになります。

三つ目はテーピングです。

テーピングを痛む関節の上に1周巻きます。

そうする事で圧迫して腫れを抑えると同時に、関節の隙間を広げる効果も期待できます。

この際に伸縮性のあるタイプのものを使用すると、さほど違和感無く過ごせると思います。

もちろん病院を受診することが必要になる場合もありますが、まずは手軽にできるこれらの処置を試してみてください。

膝の成長痛の処置方法

成長痛の場合は基本的に筋肉が成長して骨の長さに追いついてくると痛みは和らいできます。

それまでは基本的には安静にするのが一番良いです。

また、少しコツが要りますが、太ももの前の筋肉をストレッチしたり、膝下の痛む箇所をアイシングするのも症状を和らげる効果があります。

どうしてもスポーツを継続しなければいけない場合はテーピングや専用のサポーターなどで対処することもあります。

太ももの前の筋肉はお皿を超えて膝の下の出っ張りについています。

この箇所が上に引っ張られて痛みを生じているので、この牽引力を弱めることで対処します。

具体的には二つ方法があります。

まず一つ目はテーピングでお皿を下に下げるという方法です。

お皿が上に上がらないようにテーピングで動きを制限すると、痛みの出る箇所にかかる牽引力が和らぎます。

これによって症状を緩和させるのが最も手軽にできる方法です。

もう一つは”オスグッドバンド”と呼ばれるサポーターを利用する方法です。

これはお皿の下に圧迫がかかるように出来ている特殊なサポーターで、痛みのでる箇所の上を圧迫し、牽引力のかかる場所をずらすことで痛みを和らげる方法です。

しかしながらあまり無理をしすぎると骨の付着部が引っ張られ続けて変形が残ってしまったり、さらに酷い場合は剥離骨折を起こすこともあり注意が必要ですので、専門家のアドバイスのもと対処していくことをおすすめします。